えんおうシリーズ最終戦 ―2014年02月09日―
第五試合(メイン):雨宮佑香 VS 大石リナ
若木戦での雨宮を強く非難し、自身の引退宣言までした大石。
一方、雨宮は、これまで大石に、シングルで勝った事は無く、前回の対立を抜きにしても、負けられない一戦である。
序盤から、両者の感情が、激しくぶつかった。
大石が張り手を連発すれば、雨宮はエルボーを何度も打ち込んだ。
両者とも、ダメージは受けただろうが、雨宮は顔を赤く腫らす程。喧嘩マッチになるかと危ぶまれた。
大石が首投げを決めようとすると、雨宮は腰を落とし、封じ込める。
この様に、技を受けない場面が、雨宮には度々見られた。
投げ技を防ぐと、すかさず相手の腰へしがみつき、バックドロップで切り返す。
大石の得意技を先に使った格好であり、雨宮の気の強さが表れた瞬間でもあった。
雨宮は、グラウンドでも、大石に臆せず、圧倒した。
袈裟切りチョップを封じる為だったという腕ひしぎで、何度も大石をロープへ向かわせる。
レスリング技術は、既に大石を上回っているのかもしれないと思わせた。
しかし、大石のレスリングは、決して技術のみで勝負をするものではなかった。
グラウンドの展開から、雨宮が起き上った瞬間、中腰の状態を狙い、ランニング式のパラダイス・ロスト。
タイミングを計算したのではない、本能に任せた攻撃。だからこそ、シングル戦の度に、同じ技でも、雨宮は喰らってしまうのだろう。
これは、雨宮に、プロレスの本質を教える様な一撃だった。
大ダメージを喰らい、ふらふらとなった雨宮に、袈裟切りチョップの嵐。
肘を痛めているのは確かなのだろうが、だからこそ、繰り出したのだと言える。
雨宮は、仰向けにダウン。意識朦朧となり、ダウンカウントを取られるが、カウント9で立ちあがった。
ここからは消耗戦となった。
雨宮も、意地を見せつけ、スピナーで反撃。
背後からマットへ倒れ込んだ大石が、今度は大きなダメージを負った。
おぼつかない足取りの大石へ、雨宮は助走を付けたラリアット。
だが、ここでタイミングを合わせ、大石は回転首固めに切り返す。
3カウント、ギリギリ。スタミナも切れた雨宮は、しばらく防戦一方となった。
ここで終われない雨宮は、奥の手、ドラゴン・スープレックスを解禁する。
しかし、カウントは、2.9。大石も、最後の体力を使いきって、フォールを逃れた。
もはや、互いに立ちあがるのも困難となった状況を打ち破ったのは、大石だった。
掟破りの、スタナーを雨宮に炸裂させる。
体勢は崩れ気味だったものの、とどめを刺すには充分な威力だった。
何とか、雨宮の体を反転させ、そのまま自分の体を乗せた。
大石にも体力が残っていないのは明白だったが、雨宮は半失神状態で、そのまま3カウントの音を聞いた。
これで、雨宮は、シングルマッチで大石に五連敗。「最後の」シングルと謳われていただけに、雨宮は取り返しのつかない敗北を喫したと言えるだろう。
×雨宮佑香(17分26秒 体固め)大石リナ○