娑婆で見た弥三郎は落ちぶれた僕の友人と知られたら恥ずかしすぎるのでやはり無視する僕なりの結論シリーズ最終戦 ―2013年12月22日―
第三試合:乙瀬深雪&山吹響子 VS 雨宮佑香&ナスターシャ
前大会で鮮烈な勝利を飾った、乙瀬と山吹。
対するは、高校生レスラーにも敗北したナスターシャと、雨宮の、急ごしらえコンビ。
結果はともかく、雨宮が、どこまでナスターシャを引っ張ってゆけるかが、注目された。
雨宮は乙瀬の腕を取ると、ナスターシャが張り手の連打で、相手の頭をはたく連携攻撃。
「教師による、おしおき攻撃」と、雨宮は説明したが、特にダメージは与えられず。しかし、会場は奇妙に盛り上がった。
中盤からは、ナスターシャが、一方的に攻められる展開。
山吹にはグラウンドで対抗できず、乙瀬にも軽々と投げられ続けた。
乙瀬に至っては、蹴りの一つも出さない余裕ぶり。
最後は、山吹が肩固めを炸裂させ、ギブアップ勝利。チームの強さをアピールした。
ナスターシャは、「強くなって、また来日する」と宣言。
一般メディアの取材が、遂にゼロとなった今大会の様子を見れば、現役教師の肩書だけで注目を浴びる時期は過ぎたと言っていいだろう。
乙瀬深雪&○山吹響子(09分33秒 肩固め)雨宮佑香&ナスターシャ×
第四試合(メイン):第二期初音御前決定戦 若木真衣 VS 葉月沙弥子
一期生が成長している事に加え、葉月の不調など、メインへ持って行くのが不安視された、新人王決定戦。
若木はローキックの連打で、様子を見ていくものの、葉月は、横回転の袈裟切りチョップで迎撃。
これを喰らった若木は、思わずダウン。客席からは驚く声も。
すぐに立ち上がったが、この一発で、試合への期待度は高まった様に見えた。
葉月は、早々にウラカン・ラナで勝負に出る。
前回の直接対決では、これで試合を決めただけに、場内は歓声に包まれた。
しかし、若木は、カウント2で跳ね返す。
若木が蹴りの連打から、中盤の主導権を握り始める。
ブラック・ハンザ戦で見せた、オーバーヘッドキックが、葉月を襲った。
直前で避けた葉月だが、肩口へ蹴り足を受けてしまう。
肩へのダメージからか、動きを止めてしまう葉月。
このまま終わりかと、客席から嘆息が漏れる中、グラウンドへ引きずり込んだ葉月は、三角絞めで形勢逆転。
今度は若木が動きを止めてしまい、観客は「落とせ」コールが飛び出した。
ギリギリでロープへ逃れた若木だが、葉月は手を休めず。
トップロープへ駆け上がり、体をひねって、回転回し蹴り。
チョップと片脚をぶつける、変てこなオリジナル技が出ると思っていた観客は、まともな技が出たので、驚きの声を発していた。
すかさずフォールへ行くものの、カウント2.9で、若木に返される。
深いダメージを負った若木であったが、ふらふらの状態ながらも、葉月の懐へ飛び込み、抱え上げる。
そこから背後へ、水車落としの要領で叩きつけた。
これが新人王戦用の秘策かと思われたのだが……
葉月も、体力の限界が来ていた様だが、立ち上がると、近距離から、フライング・ボディアタック。
これが、犀川戦で見せた、張り手付きのボディアタックであった為、顎に掌を喰らった若木は、仰向けにダウン。
両者ともにダウン状態の為、レフリーがカウントを数え始めた。
互いに、カウント9で立ち上がるも、気力のみで立っている状態。
葉月は、相手の蹴りに備える動作を見せていたが、この読みは失敗に終わる。
背後に回った若木は、もう一つの奥の手、低空ジャーマン・スープレックス。
勢い重視のスープレックスに、葉月は抵抗できる体力を残しておらず、これで3カウントが入った。
第二代初音御前は、若木真衣の手に。
結果だけを見れば、下馬評通りであったが、意外にも好勝負となり、会場は盛り上がった。
最終的には、メインへ相応しいカードであったといえよう。
表彰が行われている中、葉月はリングを降りようとせず、珍しく、悔しさをにじませていた。
○若木真衣(13分47秒 ジャーマン・スープレックス)葉月沙弥子×