百代シリーズ最終戦 ―2013年10月27日―
第五試合(メイン):ローガ選手権60分一本勝負 大石リナ VS ビッグ・ホルスタイン
ザビーネとのタイトル戦が頓挫し、白浜樹里にもフォール負けを喫した、今シリーズの大石リナ。
チャンピオンとして、これ以上、恥をかく事は出来ない中、ビッグ・ホルスタインとの防衛戦を迎える。
他団体でのトーナメントで、顔を合わせながらも、実現していなかった対戦だけに、客席の注目どもは、いつも以上。
懸念されたのは、ホルスタインのセコンドへ就いた、冬月弓の動向。乱入して、試合を壊すのでは、と思われたが……
試合は、やはり、ホルスタインのパワーが光る展開となった。
腕パンチで、チャンピオンを何度もダウンさせる。
大石も、距離を取って、反撃を狙うが、ホルスタインは巧みなフットワークで、追い続けた。
ボクシングなら、1ラウンドKOといった所だ、という声も上がった程。
大石が、首投げを契機に、ようやく反撃を開始する。
ドロップキックの連発から、延髄切り。更には、腰投げを決め、スリーパーホールドで、相手のスタミナを奪う作戦に。
だが、さすがに、体力を奪いきる事は出来ず、体を引っこ抜かれる様な、ブレーンバスターで反撃を喰らってしまう。
ここから、ホルスタインの体格を活かした攻撃で、大石は防戦一方に。
アルゼンチン・バックブリ―カーで、大石の体が、捻じ曲げられる。
観客からは、大石に発破をかける声が、次第に大きくなってゆく。
動ける状態に無かったものの、大石は、ギブアップを拒否。
ホルスタインは、これ以上、担ぎ続けられないと自ら判断。技を解いた。
ホルスタインに押され続けた、大石であったが、袈裟切りチョップと張り手の連打で、意地の反撃。
しかし、これを防御もせず、ホルスタインは、真正面から受けまくった。
やはり、ダメージは大きく、張り手によって、左耳の鼓膜が破れた程だったというが、ダウンは拒否。
すかさず大石は、相手の脚へ狙いを定める。
四の字固めを決められ、さすがにホルスタインの口からも、悲鳴が漏れた。
この技で、3分近くの攻防となったが、ホルスタインは、何とかロープブレイク。
足を痛め、なかなか立ち上がれないホルスタインへ、大石は追撃。
ランニング式のパラダイス・ロストまで決めた。
そのままフォールの体勢へ入り、観客も一緒になって、カウントを数えるものの、ホルスタインは、ギリギリで肩を上げる。
客席は、残念がる声で埋まった。
ここで、気が緩んでしまったのか、ホルスタインが体勢を入れ替える動きに、大石は何ら抵抗も出来ず。
馬乗りになったホルスタインは、相手の顔を胸で覆う、バストスリーパー。
一瞬の逆転劇に、観客からは悲鳴も上がる。
運よく、ロープへ近かった事もあり、大石は、失神寸前で逃れた。
もはや、反撃する体力が残っていない大石へ、ホルスタインは、サイドバスターで、試合を決めようとする。
大石は、カウント2.9で、わずかに肩を上げ、チャンピオンとして最後の抵抗。
客席からは、大石の大逆転を期待するかの様な、悲鳴まで上がった。
しかし、その期待に応える気力すら、大石には残っていなかった。
無理やり起こされ、棒立ちになった状態で、ホルスタインから、強烈なラリアット。
これで完全に失神した大石は、ぴくりとも動かず、3カウントを奪われた。
初防衛戦で完敗。しかも、外部にベルトを持ち去られる事態となり、会場は混乱の声で、うずまった。
セコンドの冬月が、リングに上がり、何故かベルトを手にすると、そのまま大石を見降ろす。
だが、大の字で倒れる前チャンピオンへ、何をするでもなく、そのまま、ホルスタインと、場内を後にした。
×大石リナ(31分25秒 体固め)ビッグ・ホルスタイン○
※ビッグ・ホルスタインが第二代王者。大石リナは初防衛に失敗。