百代シリーズ第四戦 ―2013年10月20日―
第四試合:白浜樹里 VS 雨宮佑香
海外修業後は立場を逆転させてしまった白浜と、エース復活を目指す雨宮とのシングルマッチ。
前大会では、大石からもフォールを奪った勢いに乗り、白浜は序盤から、得意技のオンパレード。
ショルダータックル、フロントキックで攻め立て、エアプレン・スピンで、雨宮を放り投げる。
パワーの差を見せつけられながらも、雨宮は正面からの攻めで反撃。
元エースの意地として、逃げる所は見せたくないとばかりに、相手を吹き飛ばす程の、スピアーで形勢逆転。
雨宮は、この技のタイミングを、完全につかんだようだ。
エルボーの連打は、相変わらずのキレを見せる。
白浜も、正面から受けまくったが、遂には仰向けにダウン。
レフリーのダウンカウントが入り、ギリギリで立ち上がったものの、足元がおぼつかない状態に。
だが、白浜も、ここで終わりにするつもりはない。
ランニング・ネックブリ―カーをカウンター気味に決めると、コーナーポストへ。
トーナメントでも披露した、ミサイルキックで、雨宮を吹き飛ばした。
両者とも、スタミナを消費しながらも、互いの必殺技は打たせない、つばぜり合いが続く。
ここで、背後を取った雨宮は、強引にフルネルソンへ。
一瞬、しゃがみこんで、白浜の重心を下げると、そのまま、初披露のドラゴン・スープレックス。
最後の最後で大技を喰らった白浜は、返す事が出来ず。
シリーズ終盤で、遂に雨宮が、トップ戦線への切符を取り戻した。
×白浜樹里(16分55秒 ドラゴン・スープレックス)雨宮佑香○
第五試合(メイン):大石リナ VS マヘリアQ
日本のプロレスファンでも、ほとんどが存在を知らなかった、マヘリアQ。
この試合をメインに持ってくるのが正しいか、社内でも否定派が多かったという。
特に気負いも無く、入場してきた、マヘリアQであったが、ゴングが鳴る前に奇襲。
大石の背後を、エルボーとパンチで、滅多打ちにした。
ラフファイトが得意であるとの情報は得ていたが、マヘリアQは防御技術も備えていた。
大石の袈裟切りチョップを、とっさに両腕でブロック。
お返しとばかりに、急所蹴りを叩きこむ。
もちろん、これは反則。うずくまる大石を見て、レフリーが試合を一分間、中断させた。
マヘリアQの勢いは、止まらない。
強烈なパワーボムで、大石をマットに叩きつける。カウントは、2.9。
この辺りで、観客も、マヘリアQが単なるヒールレスラーではないと、認識し始めた様で、大石への応援コールが多くなる。
チャンピオンとして、これ以上、不甲斐ない姿は見せられない大石は、バックドロップ一発で形勢逆転。
マヘリアQも、エルボーやキックで反撃を試みるが、もはや動きは鈍く、力強さも感じられない。
余裕が出たのか、大石は、久しぶりに、オリジナル形式のパラダイス・ロストで、相手をコーナーに押しつけ、屈辱を与える。
最後は、卍固めで、がっちりと絞めあげ、ギブアップを奪った。
メインで行う事に反対の声もあったカードだが、結果として、互いのスタイルが噛み合う、好勝負だったといえる。
試合後、大石は、ホルスタインとのタイトル戦を、客席にアピールした。
○大石リナ(12分38秒 卍固め)マヘリアQ×
☆その他の試合……
第一試合:桐谷かすみ VS 若木真衣
好・不調の波が激しい若木だが、この日は、絶好調。
「昨年の新人王を倒して、一期生との差が無い事を見せたい」と、試合前に語っていた通り、蹴りの乱れうちで、桐谷からダウンを奪いまくる。
まるで、キックボクシングの試合になったが、桐谷は一方的に蹴られまくった。
最後は、ロープへ押し込められたのを、レフリーが、スタンディングダウンと判断。
試合を止めると、客席からは、どよめきが起こった。
×桐谷かすみ(08分29秒 レフリーストップ)若木真衣○
第二試合:山吹響子 VS 葉月沙弥子
第一試合で波乱が起こり、続けとばかりに、葉月も、オリジナル技を出しまくった。
とはいえ、終盤は、横回転の袈裟切りチョップを出しまくるのみ。
山吹が、グランドに誘い込み、胴締めスリーパーで、あっさりと落としてみせた。
○山吹響子(06分39秒 胴締めスリーパー)葉月沙弥子×
第三試合:ザビーネ・クライバー&ブラック・ハンザ VS 犀川あやめ&乙瀬深雪
あらためて、その強さを示した、今シリーズのザビーネであったが、乙瀬は「逆に言えば、ザビーネに勝ったら、トップへ行けるという事」と、気合十分。
いきなり、飛び膝蹴りを繰り出し、ザビーネをダウンさせると、客席は大盛り上がり。
しかも、ザビーネが、しばらく、コーナーへ待機する程のダメージであった。
一時的に復活したザビーネは、レスリング・クリニックだとばかりに、犀川と乙瀬を、グラウンドで圧倒。
だが、ダメージから完全に回復は出来なかったのか、犀川のハイキックを喰らってしまい、試合後半を全てハンザに任せる程。
ロンリーバトルとなってしまったハンザは、乙瀬のDDTで、3カウントを奪われた。
タッグながら、ザビーネの突破口を、犀川と乙瀬が見つけた形となった。
ザビーネ・クライバー&×ブラック・ハンザ(12分44秒 片エビ固め)犀川あやめ&乙瀬深雪○